「ギゲスの指輪〜フェネロン童話集」
(昭和22年発行)ってのを近所の古本屋で発見。
童話は好きなので、かなり手広く読んでると思ってたんだけど、
この「フェネロン童話集」ってのは
まったく知らなかったので即買い。
この本によればフェネロンさんって人は、
18世紀のフランスの教育者(っていうか司教さん)らしく、
この童話も、
当時のフランスの王子様のために書かれたものだそうな。
童話のメッセージは
「地位や名声、富を得たら、よほど気をつけないと、不幸の元になる」
「身のタケにあった望みを持とう」(←これが時代を感じる)
「清く、正しく、正直に」
という感じで、まあ、スタンダード。
訳者の前書きには
「これを読んで、ますますよい子になって、
お父さまやお母さまをおよろこばせすることが
できるようにと、お祈りしながら」(←苦笑)とあるので、
その種の童話集なんでしょう。
話の内容も、そこそこ面白かったです。
とはいえ、ひとつだけ、
どうしても理解不可能な話がありました。
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◇超略あらすじ◇
あるところにきれいなお姫さまがいました。
お姫さまは生まれたときに仙人から、
「この子は12の口を持つ大男の嫁になるか、
そうでないなら22歳になったときに
蛙になってしまう」と予言されます。
年頃になったお姫さまは予言どおりに、
12の口を持つ大男から求婚されます。
お姫さまはこの大男の嫁になるのはいやだったし、
親である王様もお后さまも
「みにくい大男に娘は嫁にやれない」と、拒絶します。
ところが、22歳が近づくにつれ、
王様とお后さまは、
「姫が蛙になるくらいなら、大男の嫁に」と
嫁入りの段取りをつけてしまいます。
悲しんだお姫さまは、
仙人に頼んで小鳥に姿を変えてもらって、
両親に小鳥になったことを伝えて、
雲隠れしました。
小鳥になったお姫さまは、それなりに幸せで、
毎日、美しい歌を歌って過ごしておりました。
が、そんな日々もつかのま、
ある日、12の口を持つ男が
「姫を出さないなら、おまえら全員食ってやる」と宣言したため、
王様とお后さまがお姫さまに、
「人間に戻って嫁に行ってくれ」と懇願。
お姫さまは泣く泣く人間に戻りました。
ここで、王子様の登場です。
この王子さまは、口以外に、
手の指すべてに口がついていました。
王子さまは、お姫さまをひとめみたときから好きになったので、
大男と決闘することにしました。
そして、見事に大男を倒し、お姫さまと結婚し、
仲良く暮らしました。 ハッピーエンド。
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この童話はなにをメッセージとしているのでしょう???
口が12個ある大男と、
指全部に口がついている(口は計11個)王子様の違いってのは、
いったいなんなんでしょう?
身分が違うってのと、あと、強いていえば、
「人を食うか食わないか」
ってところが違うんだけど、
「人を食べてはいけない」というメッセージの童話なんて聞いたことないし、
別の意味があるんだと思うんですね。
読み取れないのは自分に常識がないためなのか、
はたまた、当時なら、理解されうる道徳がここにあるのか、
そのあたりも、わからず、
もんもんとした読後感でした。
・・・にしても、この両親(王様とお后さま)は、自己中すぎてヒドイ(^-^;)
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