弥絵が大好きなマンガ家のひとり、諸星大二郎さんが、なんと小説を書いていた! 知らなかったぁ~。出典を見ると10年以上前から、ぽちぽち書いていたらしい。タイトルがすさまじく・・・アナログというか前時代的というか、タイトルにも時代ってものがあるんだーと、妙に感心してしまった。うーん・・・でも諸星大二郎大先生だから、まっ、いっかー。
「ねえ、どこまで行くの?」
見知らぬ女の問いかけから物語は始まる。なにげない日常の風景が女の矢継ぎ早な質問で、ぺろぺろとはがされていき、ついにはへんてこりんな世界に居たことに気がつく・・・そんな短編が5本。マンガで表現している人が文章を書いた場合どうなるのか? というのが読む前にとても気になったことだったんだけど、やっぱりうまいんですね、構成が。でもって、なにせ視覚的なイメージがはっきり浮かぶ文章なので、女に質問されるまでは見えてなかったものが、質問によって浮かび上がって形になってくる・・・このプロセスが絶妙なんです。上質なレトリックというか、小説の小説らしいところだなーと。
最初から絵があるマンガだと「見えてなかったものが見えるようになる」という表現は難しいわけで。ぼかしておくわけにもいかないし、網かけするわけにもいかない。これがやりたかったのかな?とは思いました。
でも、諸星大二郎さんのマンガファンとしては、マンガがいいっす。伝奇マンガもっといっぱい描いてくだっせい。
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