「月刊ガンダムエース」という雑誌をはじめて買いました。理由は付録の「ガンダム00」の高河ゆんさんイラストの手ぬぐいがほしかったから(照)。雑誌本体には興味なかったのだけど、捨てる前に見るかとぱらぱらしたところ、ファーストガンダムのマンガが連載されてました。なつかしい!ガンダムの絵を担当している安彦良和さんの原作・・・というか、アニメのファーストガンダムに納得のいかないところがあって、描きなおしをされている「THE ORIGIN」らしい。
最初は、「こんなシーンあったなあ、ああ、そうだった」となつかしく読んでいたのだけど、途中から、アニメとマンガでは、なんて違うんだ!と、ドキドキしてきました。
たとえば、主人公のアムロという少年が、ララァという少女と運命的な出会いをして、直後に別れるシーン。突然、踊るように草原の彼方に走り去っていく少女を、置いてきぼりになった主人公は唖然として見送るのですが、この少年の「あ・・・」って感じのところから、彼方に去っていく少女を見送り、憧憬するところまでの間を、セリフなしで、何ページも使って絵とコマだけで表現しているのです。この絵とコマが見事。絵は水彩画のようなタッチで、ララァという不思議な力を持つ少女の透明感や浮遊感を出してるし、コマは少年が呆然と少女を見つめる姿を何コマも使っていて、スローモーションのようです。
このマンガの中では時間は均一に進むものではなく、コマで時間の流れをコントロールしてるようです。集中したときには時間の流れをゆっくり感じたり、夢中になっているとあっという間に時間が経っていたりするんですが、その体感時間を表現するってすごいなあ。実は、時間の流れに緩急をつけるというのは、動画の方がむずかしいかもしれません。
あと、陽の光輝く草原を走り去っていくララァの淡い水彩画みたいな描写。これはねえ、なるほど、こういうことだったのか!とマンガで納得。光の中に溶け込むような浮遊感のある謎の少女がしっかり伝わってくるんです。もうずいぶん昔に見たからあまり覚えてはいないのだけど、アニメのときは、バックが色ベタでその中を少女(しかもアニメだから人体は黒い線で描かれる)がふわふわ動くだけだったような・・・。子ども心に背景を描かないのは、手抜きだなあって思ってました。当時のセル画ではこの繊細な光と空気は表現しきれなかったのね。
かなりオタクモードに入ってしまったような気がしますが、なにはともあれ、マンガにはマンガにしかできない表現があるということにワクワクさせられた、すごい表現でした。最近の若手のマンガは、キャラもコマもペンタッチや色の塗り方もアニメ化しているので、マンガにしかできないことがあるってことを、うっかり忘れてました。
「スラムダンク」とかね、あれもマンガにしかできない表現だなあと思い出したりして。
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