「坂東玉三郎特別公演 壇ノ浦兜軍記 阿古屋(だんのうらかぶとぐんき あこや)」を観てきましたー。
正月から玉さまのお姿を拝めるとは! 今年は歌舞伎座が修復中だし、機会はないと思っていたので、ほんと、棚からぼた餅。しかも、演目は、いまは玉三郎さんしかできないという、最も難しい女方「阿古屋」。チケットは1時間半ほどで完売して、元旦に追加公演が決まったとか。そして、東京で元旦に歌舞伎が行われるのは昭和21年以来だそうです。なにをとってもニュースですねえ。
1月の歌舞伎は、お正月の特別なご挨拶があり、会場は繭玉に飾られ、獅子舞が踊り、はなやか&にぎやかで、御利益がありそうなたのしさがあります。やっぱ、1月の歌舞伎はいいなあ。
さて、主人公・阿古屋は、最高位の太夫。平家の残党狩りをしている源氏が、平景清の行方を知るため、恋人である阿古屋を拷問にかけるのが、この「壇ノ浦兜軍記 阿古屋」。「阿古屋琴責(あこやことぜめ)」とも呼ばれる場面です。
「行方は知らない」と言いはる阿古屋。取り調べを担当する情け深い重忠は厳しい拷問ではなく、阿古屋に音楽を演奏させて、その音の乱れで嘘をついているかどうかを見破ろうとします。
琴、三味線、胡弓と楽器をかえて、乱れのない澄んだ音色を40分以上演奏するのが、この舞台のみどころ。演奏がすばらしいのです。コンサートです。しかも、恋人の生死はわからないし、自分も死ぬかもしれないっていう緊迫した中での演奏。4年前に初めてこの舞台を観たときは、すさまじく練習しないとこれだけの演奏はできないなあ、毎日のように舞台に出ておられて、練習する時間があるのかなあ?と思ったものでしたが、玉さまは琴は9歳、三味線は14歳から、胡弓は18歳からはじめられたそうで、想像できないほど努力されてきたみたい。
舞台設定も変わらず、人の動きも極端に少なく、ひたすら楽器演奏が続くこの演目は、地味といえば地味。演奏する阿古屋の表情と音の変化のみで、死を覚悟し、景清を恋い想う阿古屋の気持ちを伝えます。玉さま、すてき〜☆
ところで、今回の舞台のきっかけとなった海老蔵さん。舞台に登場するとパーッと明るくなって、これが「華」というものかと感心します。華のある役者さんは数少ないです。ぜひ、がんばって、早く舞台に戻ってきてほしいです。