ブレッソン監督の「スリ」って映画を観ました。
フランス映画は鼻について苦手・・・と、
ずっと思っていたのだけど、
苦手だったのはトリュフォーだったのだなーと、
はっきりしました。
フランス映画はおもろいっ!
考えてみれば、
昔なら、マルセル・カルネ、ルネ・クレイマン、
最近ではパトリス・ルコント、
リュック・ベッソンなど
弥絵好みの映画監督も多いのよね。
ところで、この「スリ」って映画、60年の作品。
貧しさから人の財布を盗んだ青年が、味を占め
次第にスリにのめりこみ、エスカレートして堕落していくお話。
堕落していくお話というのは、通常、
世間の目を気にして苦しんだり、良心の呵責などの
内面の葛藤に焦点があてられ、
そこが見所だったりするんだけど、この映画は違う。
生きる目的がなく、
社会なんて目じゃない青年が主人公なので、
そういうときに「良心」って芽生えないもんなんすねえ。
どうでもいいし、なんでもありっていう
「空虚さ」が全面に出てます。
で、警官に向かって
「法律というのは、天才には無効にしたら
いいんじゃないですか?
社会への貢献度が違うのだから、
犯罪を犯したとしてもそれを上回る益がある」
なんて言ってしまう。
警官の方もシャレたもんで、
「難しいですね。天才の定義をどうやります?
みんなが自分は天才だと主張したらどうします?」と切り返す。
話が脱線しましたが、この映画の見所・・・
人の身体の動きです。
映画の中に、
数々のスリの技法が出てくるんだけど、
官能的でエレガントな
手先の動きに、目が釘付け。
美しすぎて、ため息。
スリにも美学があるんです。
でもって、研ぎ澄まされた技法はそれだけで美しい。
さらに、ラストシーンのラブシーンに、
いまだかつてなかったほど、ときめきっ!
刑務所に入った主人公に、
彼のことをずっと好きだった女性が面会に来るの。
彼もようやく彼女の気持ちに気がついて、
改心しようと決意するんだけど、
そのときに、鉄格子ごしに、
彼が彼女のひたいやほほに、
触れるか触れないか
くらいのキスをするの。
これがねえ、めっちゃんこドキマギ!
触れるか触れないかくらいの、
繊細でやわらかい動きって、
色気があるのねー!!
官能とか色気って、
ひそやかで、繊細で、
最小限に動きを抑制したところに
生まれるのだわーと、感心しやした。
いや、自分はだめっす(^_^;
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