今、ヤフーのオークションで、
内田善美というマンガ家のイラスト集を
ゲットしようと、奮闘中。
もともとの価格はたいしたことないんだけど、
2000円→5000円→8250円→と、
価格がうなぎのぼりで、
ううっ、どうしよう(^-^;)と、お悩み中です。
古本屋では1万円でも買えなくなってるんだけどね。
なんと、競り合っている相手が、古本屋さんらしく、
本業の人と競り合うのは、ちょっと新鮮です。
この内田善美さんは、休業してかれこれ20年くらい?かな。
「消えたマンガ家」(太田出版)にも取り上げられている
伝説のマンガ家さん。
弥絵が小学校のころに、ものすごく影響を受けたマンガを描いた人です。
「星の時計のLiddell(リデル)」
地球で流れる時間は、人間が当たり前に思っている時間ばかりではない
って意味合いで「星の時計」ってタイトル。
「人間が絶滅しても地球は哀しまないわ。
人間が死んで哀しむのは人間だけよ」
というセリフに象徴されるとおり。
舞台はアメリカ。
祖父の代から故国ロシアから離れ、
一族が生涯旅人みたいな生活をしている
大財閥の息子ウラジミールが主人公。
高等遊民(←死語)の彼は、毎夜のパーティやら、
贅沢に慣れているがゆえに
あきあきしてたりもして、物事に執着しない。
ひとつだけ、執着しているのが、親友のヒュー。
ヒューは、ちょっと人と変わっていて、人に見えないものが見える。
ヒューは、小さいころから、
古い屋敷に少女がひとりいる夢を見る。
その少女と言葉を交わし、年を経るにつれ、
友達になっていく。
ある日、ヒューが寝ているときに、呼吸していないことに気がついたウラジミールは、
夢に獲りこまれる人々の話を調べだし、
ヒューを助けようとするのだが・・・
って感じのストーリー。
カンタンにいうと、あっちの世界に惹きこまれ
戻ってこなくなった人たちの話
なんだけど、出てくるキーワードに、
影響受けまくりました。
ボルヘスの小説に出てきそうな、
世界中の稀本や絶版本を集めた巨大な図書館。
(ウラジミールの父が所有。図書館司書つき)
マンガの中に繰り返し出てくる
「胡蝶の夢」の話で、中国の古典に興味を持ったし、
少女が暗誦するポーの詩に感銘を受けたり、
日本の言霊信仰ってアメリカ人から見ればオカルトなんだー
と気づいたし、
万葉集の歌の美しさに目覚め、母語に影響される言語処理の違いを発見。
このマンガを読んだ後々、各種文学&神秘主義&
心理学&哲学などなどの
いろんな本を読んだりして、そうとう広がりました。
80年代の少女マンガのレベルは高かったなあ。
==========
たとえば、洞穴。空にかかる巨樹。深い森。嵐の前の雲の流れ。
さざなみもたたない沼。真夜中の我が家。窓ガラスごしの闇。
幽霊屋敷。鏡の迷宮。アンドロメダまでの距離・・・
そんなものを感じたときの精神のあの得もいえぬ不安定さ。
生とか死とか、神とか宇宙とか、
恐怖、幸福、興奮、時空、魔性、次元とか・・・
持っている言葉のすべてを使っても、
あの感触には追いつきはしなかった。
==========
なーんて、セリフがマンガの中に出てきたら、
そりゃわくわくします(o^-^o)
「精神のあの得もいえぬ不安定さ」・・・
恍惚感ともいうかもしれないけど、
これはほかのいくつかの文学作品でも、見かける状態で、
弥絵、いまだに、この手の感覚が
言語化されている本を探してたりします。
コメント