「たいせつなこと」
マーガレット・ワイズ・ブラウン作 うちだややこ訳
50年前にアメリカで出版された絵本。
マーガレット・ワイズ・ブラウンといえば、
「おやすみなさいのほん」などで、日本でも有名。
子どものころに読んだことのある人も多いのでは?
この絵本は、「かぜ」「そら」「りんご」「コップ」「スプーン」などの
日常よく触れているものの、一番大切な要件を
つづっているもので、たとえば、
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かぜはふく
かぜは めに
みえないけれど
ほおで かんじることができて
こずえを ゆらし
ぼうしを ふきとばして
ふねを はこんでゆく
でも かぜに とって
たいせつなのは
ふく と いうこと
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そらは いつも そこにある
まぎれもなく あおくて
たかくて くうきに みちている
そして ときおり
くもが とおりすぎていく
でも そらに とって
たいせつなのは
いつも そこに ある
と いうこと
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で、うまいなあと思うのは、最後の節が
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あなたは あなた
あかちゃんだった あなたは
からだと こころを ふくらませ
ちいさな いちにんまえに なりました
そして さらに
あらゆることを あじわって
おおきな おとこのひとや おんなのひとに
なるのでしょう
でも あなたに とって
たいせつなのは
あなたが
あなたで
あること
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で、締めくくられているところ。
物心つく前から、
「あなたがあなたであること」が一番大切なのだ、と
いわれて育つのは、すごいものがあると感心。
それがいいか悪いかは、よくわからないのだけど、
強烈なのは確か。
アイデンティティって一朝一夕にはできないっすね。
いちおは日本でも、ここ20年ほど
「個性を大切に」といわれるけれども、
いったいなにが「その人固有の個性」であり、
なにが「あなたらしい」のかは、
実は、先生も教えてくれないし(教えられないし)、
本人は、なにが自分の個性だか、
わかりにくいんじゃないかしらん?
ところで、この本を訳したうちだややこさん。
名前に聞き覚えがある・・・思い出しました!
内田裕也さんと樹木希林さんの娘さん。
しかし、この絵本のプロフィールには
いっさいそういう記述もなく、
(あった方が売れると思うけど)
親の七光りじゃなくて、しっかと自分で立っているところが、
素敵だなあと、思いました。
すごく、いい絵本です。こういう仕事ができる人はいいなあ(^-^*)
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