角川から出た新刊。 シリーズ名「ちょっと大人な絵本。」
いやあ、このシリーズ名だけ見ると
ちょっとエッチ系かと思ってしまうのですが(あたしだけ?)
そんなことはございません。
極めてまっとうで、古典的な純文学作品を扱ってます。
現代作家と人気イラストレーターのセットで、
古典を超訳して絵本にしたシリーズ。
原作とは別モノ・・・なくらいにのびのび訳されていて、
「原作の方が面白いや」とも思うところも多々あれど、
それなりに面白いです。
原作と翻訳の関係というよりも、
楽譜と演奏の関係といった方がしっくりくる。
文学作品も、音楽のように、
どんどんいろんな解釈がなされて、
様々な演奏されれば、面白くなっていくかもぉ〜。
ってのが、一番、思ったことでした。
冷ややかでありながら、生々しい目には見えないグロテスクさがある
小川洋子がツルゲーネフを訳したらどうなるのかしら?と
かなり興味津々でした。で、期待以上。
絵本にするために物語はずいぶんカットされているし、
もう別物といっていいのだけど、
美しい女にあこがれる少年の揺れ動く心とか、
女の純粋さ+不可思議さ+おろかさとか、
あこがれの女性は実は自分の父親とデキちゃってたとか、
まあ、ずいぶんといまどき風の物語になっていて、
読みやすかったし、雰囲気が出ててよかったっす。
改めて、ツルゲーネフ、すごいぜっ!と、しみじみ。
■ボヴァリー夫人
原作:フローベル 文:姫野カオルコ 絵:木村タカヒロ
はあ、もう、個人的な趣味の問題なのですが、
フローベルも嫌いだし、姫野カオルコも苦手だし、木村タカヒロも苦手でして、
苦手なのが3連発・・・なもんで、素直に読めない(^-^;
くどいし、自己主張が強すぎて、自意識過剰な仕上がりかも。
堅物でつまらない夫に飽きて、浮気する妻ってのは、
いまでは、よくある話だし、ばれなきゃ(ばれても?)さほどの罪にならないので、
不貞への罪悪感と欲望の間で葛藤し、最後には死を選んでしまうっていう
この作品のよさは、今の時代にはわかりにくいかもしれないです。
■河童
原作:芥川龍之介 文:原田宗典 絵:荒井良二
ああ、もう完全に、芥川の世界から離脱し、
原田宗典色になっているんだけど、
これは最高面白いですね!
もともとの芥川の河童もケッサクなんだけど、
原田のユーモラスさがいいアクセントになっていて、
同時に読めば、楽しさ2倍って感じです。
改めて、芥川龍之介、すごいぜっ!
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