最近、書店でよく見かけるよーになった
福島聡のマンガ3冊読破。
ずいぶん前に「少年少女」1巻ってのを読んだんだけど、
こりゃどうしたもんかいな、と、日記には書かなかったです。
「こりゃつまらん」と、却下したものと、
「こりゃどうしたもんかいな」と、保留にしたものと、
「こんなこと、ワタシの文章力で書いたら、
作品に申し訳ない」と絶望的な憧れになったものは
日記には書かないことにしてます
(ex.タルコフスキーの映画については書けない(;_;))。
話戻して、福島聡のマンガ。
ジャケ買い・・・じゃなくて、表紙買いでした。
マンガの絵がマンガらしくて、とてもうまい。
登場人物の動きや表情のひとつひとつ、
カット割、ページネーションすべてが、地味だけど、うまい。
アニメっぽいマンガが多くなった今、だれの絵にも似てない、
正統なマンガらしい
マンガの絵って珍しい。
タイトルや著者名に使われているレトロなフォントもいいし、
なにより、帯のコピーが、
タダ者じゃなくてすごい。
このマンガ担当した、編集者って何者?!
(たいてい帯のコピーは編集者が書くもんだ)
ってのが、商売柄、先に気になりました。
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【帯コピー、ちょっと紹介】
「少年少女」
異性に、オトナに、見知らぬ世界に。
少年少女は憧れを抱き、まだ見ぬ未来へ夢を膨らませていく。
永遠のアスピラシオン(憧れ)
理想とする者の存在は少年少女たちの心を強く惹きつけ、
彼らのその後の人生を大きく揺り動かしていく。
「六番目の世界」
無軌道な日常、綻びゆく世界。
叙情派が描く6つの世界は、悲しみに満ちた喪失のリアリティ。
失した現実が此処に。
絶後の読切集。
悲劇の中に愛は宿り、非情なる人生の幕間にこそ、
人は自らの生きる意味を問い質す。
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「少年少女」の1巻を読んだときには、
どうしたもんかいなーと、弥絵の中のポジショニングは保留だったわけです。
ま、でも、あと2〜3冊読んでみて、
自分にとって意味があるかどうか考えようと思ったんだけど、
やったね!「少年少女」2巻は大ヒット〜\(^-^)/
7つの短編から成るマンガで、全部シチュエーションが異なります。
SF、戦争モノ、ネットの世界、オカルト、なつかしの昭和初期下町もの、
とはいえ、この人のマンガ、けっこう簡単に、ころっと人が死んじゃう。
最近のマンガはよく劇的にヒーローとかヒロインが死んじゃって、涙を誘うんだけど、
そういう「感動して泣けよ」ってな死に方じゃなくて、
本当に、あっけなく、ころっと死んじゃうのであります。
ああ、そういえば、人間って簡単に死ぬよなあと、思い出させてくれるわけで。
淡々としてるだけに、死ぬときの「え?」っていうようなびっくり感とか、
残されたものの悲しみや不条理感がよく見える。
ところで、「少年少女」2巻で、弥絵が好きなのは第9話「彼ら」。
いじめにあってる少年が、人を殺したい衝動にあって、
このままではいけないと、自転車に乗ってあてもない旅に出ます。
その間の心情は日記でつづられていて、
パンクを直してくれた自転車屋の兄ちゃんにあったかいものを感じたり、
バス停で死んだように眠る老人にぎょっとしたりの毎日を送ります。
自転車でたどる道のりは、岡山、神戸、富士山(←曇っていたため見えず)、砧。
この地名でピンときた人は、ニュース通。
すべて、中学生が起こした事件の場所。
砧のは殺人事件ではないけれど、中学校の校庭に447個の机を並べて
「9」の字の形を作ったっていう88年に起きた不思議〜な事件で、動機は不明だったような。。。
ま、そんなこんなで、少年は自分の力で行きたいところまで来れたというのと、
好きな女の子に似た子に声をかけられたってので、
帰路に着くわけですが、
日記の最後の「10年後のボクへ」ってのが、切れ味がよくてよろしいかと。
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10年後のボクへ
ちゃんとやってますか? 何をやってますか?
家族はいますか? 子どもはいますか?
父親としてちゃんとやってますか?
今回ボクはヒトを殺さずに済みました。
あなたも、あなたの子供も、いつ、どこで
何があるかわかりません。
ボクがそうだったように、あなたも誰かを
あやめるかもしれませんし、あやめられるかもしれません。
お互い気をつけて、頑張っていきましょう。
そういえば今回の旅で、ボクにはささやかな
希望ができました。
別に根本恵美のことじゃないよ。
偶然東京で彼女に似たコに会った!!
自転車屋になりたいと思った。
でも、期待は禁物。
【「少年少女」2巻 第9話 福島聡 エンターブレイン】より引用
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このマンガを出したエンターブレインって、どこの出版社だ?
と思って、ネットで探してみたら、
あー!ファミ通作ってるところだったんですね!
連載誌の「コミックビーム」は、
しりあがり寿、竹本泉(すごーく懐かしい!!)、
唐沢なをき、吉田戦車などなどのくせのある個性派の漫画家さんが続々。
漫画家のメンツを見て、こりゃ、今どき珍しく、ただの売れ線狙いじゃなくて、
作りたいって思う雑誌を存分に作ってるわ、と、かなり感心しました。
めずらしく、「読者アンケートハガキ」に感想書いて送りつけようかと画策中の弥絵っす。
ゲーム雑誌から発祥したマンガ雑誌の方が、
マンガで成長してきた出版社よりも、良質なマンガを出す時代になったんだねえ。
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