家守奇譚 梨木香歩 新潮社
弥絵はファンタジー好きっす
(幻想文学も怪談も好きっす♪)。
ル=グインの「ゲド戦記」、C・S・ルイスの「ナルニア物語」、
トルーキンの「指輪物語」、ガーナーの「ふくろう模様の皿」、
ピアスの「トムは真夜中の庭で」、斉藤惇夫の「冒険者たち」、
エンデの「鏡のなかの鏡」、ガルシア・マルケスの「エレンディラ」、
ギリシャ・ローマ神話やエッダなどの神話、聊斎志異などなど読み漁ってました。
ところが、最近は食指が動かず、
世界的大ヒットと言われる
「ハリーポッタ」も「ドラゴンランス」も読んでない有様。
そんな中で、この梨木香歩さんの本は読み続けてるんです。
児童文学ではありますが、
「西の魔女が死んだ」「裏庭」とか超オススメ!
日本を舞台にし、今を生きる日本の子どもたちを
主人公にしながらも、
正統派ファンタジーの王道を行く、
きちんとした品格と風情があるのがよろしいかと。
そんな梨木香歩さんが、大人向けの小説を出して、
これは傑作だ!と、池澤夏樹が書評を書いていたもんで、
読んでみました。
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庭・池・電灯付二階屋。汽車駅・銭湯近接。
四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・河童・人魚・
竹精・桜鬼・聖母・亡友等々出没数多…。
それはつい百年前。新米知識人の
「私」と天地自然の「気」たちの交歓録。
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今の日本にはなくなってしまった、
超常現象や伝説、伝奇の数々が、
夏目漱石の「夢十夜」にも通じるような、
理知的で古風な文体で淡々と綴られているせいか、
河童が出ようが、百日紅が主人公に恋をしようが、死んだ親友が掛け軸の中から現れようが、
<当たり前>と自然に思えてしまうのでありました。
万物みな魂が宿っている、八百万の神がいる、
米ひとつぶに7人の神様(だっけ?)
と、なんとなしに思っているわれわれには、
当たり前のよーに読める本かも。
個人的には、今市子の「百鬼夜行抄」や
諸星大二郎とかのマンガの方が、
ドラマチックで物語らしい物語なので
好きなのだけど、
この当たり前さ加減を表現できるのって、
すごいなあとしみじみ。
日本のアイデンティティ溢れるファンタジーとは、
こういうことかな?とも思ったりしました。
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