神保町勤務になって本当によかった!と思えるひとつがこのフリーペーパーとの出会い。置かれている本屋が限られているので、多摩勤務だったら知らないままでした。マジよかったっ!
スタジオジブリ事業本部発行。中綴じ90ページのボリュームを毎月発刊するそのパワー。すごい。スタジオジブリなんだけど、マンガなページは一切なく、文字ばっか。すでに化石の文芸誌なんて目じゃないくらい、知的・濃厚・真摯・誠実。
ありとあらゆる「表現」「文化」「人間」などに対して、様々な角度から深く掘り下げる、生々しいほどの骨太の真剣さがすごいんす。
これ読んで、文芸誌がダメになった理由がわかりました。文芸に囚われすぎて閉塞的になったんですね。
例えば今月号。
「特集 翻訳の楽しさと恐怖」 1発目は大好きな「ゲド戦記」の訳者・清水真砂子さん。
ルネサンスの人々の目指した練達のありよう”スプレッツァトウラ”~どんなに苦労があっても中の歯車は見せず、何気なくいともたやすく仕上がったように見せること。軽やかに見せること~にあこがれたという、清水さんの翻訳中の試行錯誤や裏話がぎっしり。 異文化の狭間に立つ人の苦労や悦び。村上春樹さんや柴田元幸さんの「翻訳夜話」とは、またちょっと違う、登場人物や世界観を生み出す謎が解けて面白かったっす。
ユネスコ・アジア文化センターの大貫美佐子さんの話も興味深かった。「地球上から一つの言語が消滅することは、ルーブル美術館を一つ失うことです」という一文に、マジに涙がどばーー。ちなみに、世界には6000以上の言語があるそうだけど、今世紀中に90%はなくなるだろうと予想されてます。また、トンガやサモアの人々が、史上初めて手にした本は聖書だったという話を読み、自分の想像を絶する環境と辛さを感じました。
ま、そんなこんなで読み進めて行きますと、あ~!慶一さんっ(*^-^*) 「もうひとつのJ-POP~大森昭男とCM音楽50年 広告音楽作曲家としてのムーンライダーズ、鈴木慶一とのかかわり~」 ムフフフフフフっ(*^-^*) 当然だけど、糸井さんもあっこちゃんの名前も出てくる。ムフフフフフフっ。ムーンライダーズファンだけど、ここまでは知らなかった。ありがとう♪制限の内で作ることの面白さと、原点ともなるうっすらと覚えている音の記憶の大切さをメモメモ。
ラストスパートにかかると、「加藤周一 日本 その心とかたち をめぐって」。加藤周一さんですわよっ!高校の頃、ハマッた批評家は加藤周一さんと小林秀雄さんです。とにかくムリして古臭い本ばかり読んでいた当時、加藤さんの透明感のあるスマートな知的さ・深い教養・美意識はかっこよくてしかたなかったっす(写真もかっこよかった♪)。
とにかく、現代の良心というか、知的遊戯というか、自分の世界が広がるフックがいっぱいつまってる激オススメのフリーペーパーです。近くに置いている本屋がない場合、今年から直販も始めたそうで。こちらは年2000円なんですけど、ぜひぜひ、ゲットしてくださいっ!!
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