本好きの親の元で育つと、どうにもこうにも本好きにならざるを得ないもんす。弥絵んちは両親共に無類の本好き。本を読み出すと没頭しちゃう人たちで、「本を読んでるから静かにしなさい」とよく注意されました。テレビも観られない。音を出さずに遊ぶことはできないから、本を読むしかない。で、本を読んでいる限り、大変尊重されて、いっさい干渉されなかったのもナイスでした。
そんな家だったもんで本はいっぱいあったんだけど、この「本の愉しみ、書棚の悩み」の作者んちは弥絵の実家よりももっと凄い。両親共に作家。7000冊の本に囲まれて育ち、自分も作家になり、伴侶も作家。この本は、結婚して夫の蔵書と自分の蔵書を一緒にするときに起きた葛藤から始まります。夫はアバウトでアメリカ文学好き。作者は緻密でイギリス文学好き。特等席にどの本を置くべきか? どちらも同じ本を持っていた場合、どちらのを捨てるのか・・・万が一離婚したときのためにとっておいた方がいいのではないか?・・・ふたりは、とことん語り合ったあげく、1ヶ月以上をかけて相談しながら数百冊の本の整理をするわけですが、いやあ、それに比べりゃ、ひとりで決められる弥絵はラクチンだよ。本好き同士が一緒に住むって大変ねえ・・・と、初めて理解しました。
この本は、ハウツー本ではなく、エッセイ集。本にまつわる話がどんちゃか出てきます。好きな本も違えば、本の扱い方も全然違うので、びっくりもするのだけど(作者は本を読みかけのまま伏せたり、メモ書きしたり、読み途中のところに折り目を入れたりする(^_^;) 弥絵は、本は90度以上開かないし、メモも書かず、折り曲げるなんて絶対できない)、ウイットに富んでいて感心するところもいっぱい。いや、なにより、本の整理も気合を入れればできそーな気がする・・・と思えたのがよかったっす。
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