絶版本なので紹介するのが、ちと、恐縮なんですが、どこかで見つけたら即買いよぉ~!の児童書。
マーシャ・ブラウンの写真絵本シリーズ「めで あるく」「かたちを きく」「さわって みる」。訳は谷川俊太郎さん!
マーシャ・ブラウンといえば、だれしもが読んだことのある「三びきのやぎのがらがらどん」の作者。ちびヤギと、ちゅうくらのやぎと、大きなやぎが一緒に暮らしていて、ある日、獰猛な妖精トロルが待ち構える橋を渡ろうするわけです。最初に渡ったのはちびヤギで、トロルに食べられそうになったときに、「次に来るのは自分より大きなヤギだから、そっちの方が食べごたえあるよ」と言って、逃げ切るんです。次にちゅうくらいのヤギが橋を渡り、食べられそうになったとき「次に来るのは自分より大きいヤギだから、そっちの方がいいよ」と、やっぱり逃げ切る。最後にやってきたヤギは本当に大きかったので、トロルを退治してみんなで幸せって話でしたー。
長女だったもんで、子ども心に「小さな弟たちを守ってやらねばっ」と大きなヤギの心になったわけですが、考えようによっては、先に橋を渡っている2匹のヤギは、仲間を売っているんですよねえ。んまあ! でも、「大きなヤギがトロルに負けるわけがない」と、信頼しあっていたともいえるわけで。力のある者は当たり前のように自分よりも弱い者を守らないといかんってなことなんでしょう。
おっと、前置きが長くなりましたが、この3冊、思いっきり自然科学写真集みたいなもので、昨今のキャラ好き&ファンタジー好きな子どもにはウケません。でも、いい本なんす。弥絵は海外の本の冒頭にある「●●に捧げる」みたいな一文が好きなんですけど、このシリーズは3冊ともケネス・マリーという子あてに、「みることのよろこびをねがいつつ」、「かたちがかたりかけることをねがって」、「せかいをかんじとることをねがって」と捧げられてます。じーーーん。
谷川さんの訳が素晴らしくて、マーシャ・ブラウンの言葉というよりも、本当に谷川さんの詩になっておりまして。じーーーん。
「かわいいっ!」とか「たべやすい」ということは一切なく、自然界に子どもをぶちこむようなクールさがあるんですが、「ほら、見てごらん、そして自分で感じて、考えてごらん」といったような、世界との出会い方や世界の見方を教えてくれるよい本です。チャンスがあれば、ぜひゲットしてくだされ。
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