著者が本を書くきっかけになったのは、大災害があったとき、現場にいる一般人の働きが最も重要だから、ここをなんとかしたい。しかし、なぜか多くの人がふつうでは考えられない行動をしてしまう。この異常事態に直面した人の奇妙な行動と原因をみんなで共有して防げれば、生き残る人も増えるだろう、という問題意識です。まだ、読み始めたばかりなので、「最初になにを考えるか」の章なのですが、意外な話が続いてます。
逃げ遅れる理由は、パニックや判断ミスは少なかったです。パニック映画とはぜんぜん違いました。想像を絶する命の危険に直面したときに、人は慣れ親しんだ日常を取り戻して安心しようとして、「なにも起きてない」と思ってしまうんですって。9.11では多くの人が家族や友達に電話したり、パソコンを見たりなどで、10分間費やしていたそうです。そして次に、「なにも見てない、なにも聞いてない」ということにするため、目が見えなくなったり、音が聞こえなくなったりする人も出てくるそうです。人間は大災害のときに生きていけるように進化してこなかったため、楽になるために脳がそう考えてしまうそうです。自分にとって楽な状態を瞬時に構築する脳みそってすごい、と思ったけど、それでは生き残れません。命からがら逃げねばっ。
そういえば、昔、銀行強盗に隔離された人たちが、ひとりひとり殺されることになって、なんの反抗もしないで、ただ静かにぽかんとして殺される順番を待っていたという話を知ったとき、「なぜ?」と思ったけど、その理由もわかりました。あきらめたわけではなく、状況を認識できてなかったのかー。
極限状態におかれた人間がどういう状況になるかは、ケースが少ないため(少ない方が幸いです)、研究も少なく、だれしもが「自分は遭遇しない」と思っているので、話も広がらないそうです。少なくとも知ることだけはしておこうと思いました。
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