昨日のクラシックバレエの続き〜。
10の作品を観て、印象に残ったのは、以下2つ。
★「牧神の午後」
これ、ニジンスキーが1912年に踊ったすごく有名なバレエ。
話にはよく聞いていたけど、初めて観ました。
ジャンプや回転などなく、身体は正面、
顔はずっと横向きで、腕は曲げたままという、
エジプトの壁画の人々のようなスタイルで進行する独特の様式。斬新です。
牧神が心惹かれるニンフ役をやった、
マイヤ・プリセツカヤがすごかったー!
1925年生まれの当年とって
78歳のおばあさんのはずなのに、年齢不詳。
存在感からして、まったく他の人と違っていて、
いるだけで圧倒させるんす。
天に掲げた両手の手首を、
ほんの3センチ曲げるという動作だけで、
舞台全体の空間の質そのものが変化し、強く訴えてくるものがあって、
おそるべしっ! 世の中にはこんなことが
できてしまう人がいるんだー。
振り付けとか、演技とか、技術を全く超えている
存在そのものの表現を拝見しました。
「ガラスの仮面」の月影先生のようだ。
★ジゼル
有名な物語なのでストーリーは省略。
真夜中の森で、白いロングドレスを来た何十人もの妖精が、
主人公を取り殺そうとするシーンがあるんだけど、
その群舞のクールで異様なまでに美しいこと!
真っ白いロングドレスが青白い月の光に照らされて、幻想的でよかったす。
キューブリックのサイコホラー「シャイニング」に、
廊下にとても愛らしいふたごの少女の幽霊が
出てくるシーンがあるんだけど、
それに匹敵するぞくぞく感でした。
これで、ひゃ〜って思ったのは、主演の
ファルフ・ルジマトフとイブリン・ハート。
ルジマトフがイブリンを持ち上げたとき(リフト)、
まったくイブリンの体重を感じなかったのです。
空中をふわっと飛んだようでした。
ルジマトフ、すげー技術。
んでもって、イブリン・ハートの幽玄な踊りにびっくり。
彼女のつま先立ちのステップは細やかで、
足で移動していることを意識させず、
ほんと、精霊みたいでした。
ジゼルは観てよかった。
ちょっとしんどいなあと思ったのは、<ついていけなかった>こと。
ストーリーのおいしいところばかり見せる
催しだったため、
突然、クライマックスなわけです。
自分が裏切ったため狂って死んだ恋人の墓の前で
苦悩し、後悔する男、
裏切られて哀しみに暮れながら、
いまだなお男を愛する女の嘆きや憂い・・・
ルジマトフは「苦悩と憂愁の王子さま 」だそうで、
ドフトエフスキーやタルコフスキーを産んだ
ロシアにはぴったり!って感じなのだけど、
その苦悩と憂愁の激しさと
深さと、恍惚&陶酔度合いに、
一体化することができず、
いやあ、こまっちゃいました。
今度は、最初から最後までひとつの舞台を
観てみようっと。
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