「挑戦する勇気」羽生善治 朝日新聞社
小中学生向けの「ジュニア・サマースクール」の講演に加筆したもの。
小中学生に向けて話した言葉なので、すごくわかりやすい。
将棋がちんぷんかんぷんの弥絵にも、その面白さや凄さが伝わってくる。
で、「この人は本当にすごいなー」って感心したのが、
冒頭のあいさつ。
「どうもみなさん、こんにちは。
元気があっていいですね。
今日は、ようこそお出でくださいました。
夏休みももう終わりということで、
もうすぐ小学生、中学生のみなさんは新学期を迎えます。
そのお休みの最後の一日を、短い時間ではありますが、
みなさんとともに楽しいひとときにできたらと思っています。」
小中学生を「子ども」として扱ってない。
子どもに合わせた言葉になってない。
きちんと人として、礼儀をもって接しているのが、
すごいなーって、思ったのでした。
本を読んでいくとわかるのだけど、
とても優しくて、ユニークな人柄にあふれているのだけど、
相手が小学生だからといって、容赦はせず、
厳しいこともはっきり言っている。
こういう態度ってのは、もしかすると当たり前のことなのかもしれないけど、
弥絵が勤める会社は、小中学生向けの本や教材もいっぱい出していて、
この感覚が麻痺しているともいえるわけで・・・
たとえば、小学生に向けて、あいさつをするとすれば・・・
「こんにちは、元気してる?
まだ宿題が終わってなくてあせってる人もいるかもしれないね。
でも、心配しなくてもダイジョウブ!
今日は、 キミが2学期スタートから かっこよくキメられるように、
夏休み最後のラストスパートのかけ方を伝授しちゃうぞっ。
最後の1週間で、大変身しちゃおうよ 」
たぶん、小・中学生向けの本を作っている社員、
100人いれば、100人が上記のようなノリの同じ文章を書くと思う。
(そこがすごいところでもあるのだけど)
・・・と、そんなところに感心しちゃったのですが、
話されている内容も、感心しきりでした。
アマチュアのときは「勝てば結果オーライ」だったのが、
プロになってからは、ただ白星・黒星をつけるだけではなく、
<それにともなった技術や、人を感嘆させる「なにか」、
驚かせる「なにか」があって、
初めて成り立っているものだと思うようになりました。>
と、プロとはなにか?をちゃんとわかっているところとか、
<考えて、判断して、決断する>の繰り返しが重要であることとか、
<アイディア→実践→検証→反省>が勝利へのプロセスであることとか、
自分を小さくしたり衰えさせないために、
常に新しいことや不得手なことにも挑戦することが大事とか、
いろいろ勉強になりました。
つつがなく、ほげ〜と過ごしていると、
100%の力を出し切った充実感を感じる機会とか、
「決断する」っていう機会そのものが、
あまりないし、自覚もしないんです。
それはちょっと、つまらないかもなーって、
気がつきました
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