弥絵は、今住んでるところに6年くらいいるんですが、近所に、
一度もお客が入っているところを
見たことがない、ひなびたレストランが一件あるんです。
昼でも夜でも、本当に、いつ通っても、
店内にはエプロンをつけたおじさんしかいないので、
お客が入らなくても、やっていけるのかしらん?
なんでこんなに、お客が入らないのかしら?
と疑問符多々。
とはいえ、自分が入って注文する勇気もなく、
今日にいたるのでした。
店構えは、とりたてて、そんなに悪くもなく、
いうなれば、アメリカの片田舎の道ばたにある
お店みたいな感じ。
木製のがっちりとしたテーブルには、
白地に赤の格子柄のクロスがかかっていたりして、
家具や調度品は、古くてほこりにまみれてそう
だけど安物ではないんです。
メニューは、質実剛健で、
「ベーコンエッグランチ 780円」
「ハンバーグランチ 780円」など 。
自分でも説明つかないんですが、
妙に村上春樹の小説には
しっくり似合いそうな雰囲気の店なんですよね。
このくらいひなびた店・・・で思い出すのは、
東京では渋谷の道玄坂にあるカレー屋「ムルギー」。
弥絵が行ったのは相当昔なんだけど、
よぼよぼのじーちゃんが給仕でいて、
キッチンのおばーちゃんたちにしかられつつ、
ふらふらと注文を聞きに来て、
「ムルギーカレーね。
ガドガドついてるから」と勝手に注文を決めて去っていった、
変わった店でした(注文、とらなきゃいいのに、とその時は思った)。
ひなびた店って、
店の入れ代わりが激しい東京では、
なかなか生き残ってないので、
貴重といえば貴重です。
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