ジャストシステムといえば、とても深いことをやってるなーと
思わせる会社なのですが、出ましたATOK17。
今度のは、変換候補として言い換えのできる
類義語を表示する「連想変換」機能を搭載するそうな。
たとえば、「うつくしい」と入力すると、
「美しい」に加えて、「麗しい」「煌びやか」「色めく」が。
「おもう」と入力すると、
「思う」に加えて、「念じる」「思案する」「思惟する」
などが出てくるそうな。
なんでも「より深く考える」ことを支援するソフトを目指したって話。
「考える」じゃなくて
「チョイス(選択と組み合わせ)」では?
と見た瞬間、思ったんす。
考えを深めていくというよりも、センス勝負のような気がしました。
そっかー、言葉も「しぼりだす」とか「その人からにじみ出る」よりも、 チョイスになっていくんだー、
ファッションだな、こりゃ、と思った次第。
その日の気分でメイクや服を着替えるように、言葉もチョイスできるようになるわけで。
これはこれで、面白そうなので使ってみたいなと思うけど、
結局、自分に身についている言葉じゃないと使いこなせなくて
言葉の持つニュアンスをはき違えて、へんてこりんになっていく気もするんです。
文体と書きたかったことがミスマッチ、とか、組み合わせを間違えたとか、
文体ばかりが目立ってしまうとか。
話変わるけど、この間、弟んちでカニをたらふくご馳走になったとき、
「もてなす」と「ふるまう」は、全然ニュアンスが違うって、
初めて確信したことを思い出しました。
義妹は北海道の人で、実家が古くからの商家。
寒冷地は一人じゃ生きていけないもんで、土地柄として、
人と分かち合う&支え合う気質があると察するわけです。
で、その日も、 「いいカニが手に入ったから、一緒にどーんと食べましょう」 みたいな感じで、
ものすごく自然に、カニを豪快に出してくれたわけ。
「もてなす」というには、かしこまった世話焼き度が薄くて、
ああ、これが「ふるまう」ってことなんだなあって思ったんです。
農家のじいちゃんちの祭の日とかもそう。
「だれだかわかんねくても、来た客にはあがってもらって酒と刺身出せ」みたいな感じ。
人を呼んでご飯を出すという動作でも、ニュアンスが違って、しっくり来る言葉も違うもんす。
「ふるまう」は漢字で書くと「振舞う」になり、
「振舞水」といえば暑い日に道端に水を置いて、通行人が自由に飲めるようにした
昔の習慣だったりするんだけど、
「もてなし」と「ふるまい」の違いを、雷に打たれたよーにわかって、なるほどと思ったわけでした。
おっと、話がずれました m(_ _)m
このATOK17、類似語を出してくれるところまでやるなら、
いっそのこと、言葉をチョイスしたグループをデフォルトで何パターンか作って、
「三島由紀夫一発変換」 「谷崎潤一郎一発変換」「中島敦一発変換」
「開高健一発変換」、「村上春樹一発変換」
「ギャル語一発変換」「おしとやか知的女性一発変換」
とかやってくれるといいのになあ。
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