「あなた自身の社会~スウェーデンの中学教科書」アーネ・リンドクウィスト、ヤン・ウェステル著 川上邦夫訳 新評論
スウェーデンの13歳が学んでいる社会科の教科書。これがすさまじく面白いっ!日本の教科書もこれをパクって作り直したらどうかなあ?って真剣にうなっちゃうくらいのデキのよさです。ぜひ読んでみてくだっせい。大人が読んだ方がなるほどぉーって思うかも。
日本の学習指導要領は「未来を生き抜く力をつける」をモットーに、「自分で考える&知識を定着させる&個性重視」を掲げているんですが、これ、総論すぎて具体的ではなかったりする。かたやスウェーデンの学習指導要領はよく似ているけど、「生徒が、将来を築くという困難な事業への楽天的展望を与えること」をモットーにしている。で、この教科書はそれが徹底されていて納得度満点。
最初の章は「法律と権利」。法律の意味、義務と権利がしっかり語られ「あなたは未成年。自分の生き方を自由に決める権利を持たないということを意味しています。なにをするにも両親の許可が必要です」と、未成年だから犯罪やっても刑が軽いってんじゃなくて、権利がないんだってことを明記した上で、13歳、15歳、16歳、18歳と、法律によって自分で決定できる事柄が増えていくことを表にして、「18歳になると成人だから自分の責任を自分でとれる=自分で生き方を決定できるようになる」と言ってます。
続いて、「犯罪」「警察」「裁判所」「暴力」「犯罪更正施設」と続き、なにが犯罪なのか、どのように裁かれるのか、やった後、どうなっちゃうのかなどがしっかり書かれてて、読み終えるとしみじみ「犯罪なんてやるもんじゃねーな」と心底思えるのでありました。
そんなこんなで、以降の「あなたと他の人々」「経済」「社会保障」など章でも、いじめや男女差別、身の程知らない金遣いによる破綻、麻薬、セックス、結婚、離婚、老後・・・などなど超具体的に&生徒同士で討論できるような設問つきで展開され、また、万が一の場合の駆け込み寺の電話番号も紹介されてます。
この教科書の最もいいところは「正直、ひどいこともいっぱいある社会だけど、あなたの手で変えられる。あなたならどうする?」と言い続けていることと、たとえ親が飲んだくれor貧乏or犯罪者であっても、自分の才能に自信がなかったり、何にも興味関心が持てなくても、あなたは建設的な人生を送れる&その支援がちゃんとあることを言い続けていることです。
余談ですが、社会(コミュニティ)の中で、生徒の能力がめざましく伸びるための要素として、<積極的に期待をかけること><希望を与えること>ってのがありました。小・中・高生に対しての「将来に希望がもてるか?」の回答が、先進国の中で最下位に近いわが国としては、授業時間の増加だの読解力の向上だの言う前に、この先へのワクワク感を伝えないといかんのではなかろうか?と思ったりもし。
スウェーデンの教育はあなどれないですね。さすがは永世中立国、さすがはグリペンを生み出した国!ってすみません・・・。
今年も弥絵さんのBLOGに期待しています。
投稿情報: ケン | 2005-01-11 22:02
ケンさん、こんにちはー(^O^)
悲惨な胃腸の風邪から脱却した弥絵でーす。
グリペンってなに?と思って調べたら、
んまー、なんて美しい機体なんでしょう!!
スウェーデンってこういうのも作っているんですねー。
発見でした♪
投稿情報: 弥絵 | 2005-01-12 21:49
ケンさん、すみませんが、
永世中立国はスイスだと思います…(汗)
スウェーデンはEU加盟国で通貨もユーロですし…
投稿情報: 有希。 | 2005-01-12 21:56
あ、私のコメントにレスがついている!期待していなかったので嬉しいです(笑)。
> 弥絵さん
変なコメントをつけてしまいすみません。もう少し視野を広げなくてはっ!今年も全方位展開でパワー全開の弥絵さんのBLOGに期待です!
> 有希さん
あ、ご指摘ありがとうございます。「永世中立国はスイスとスウェーデン」という図式が私の頭の中にあって、えっ?違うのかな?と思って調べてみると、やはり軍事的には、永世中立国のようです。
参考にしたWEBサイトはこちらっ↓
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/sweden/data.html
外交基本方針として、「積極的なEU政策」と同時に、「軍事非同盟政策」を堅持しているようです。
投稿情報: ケン | 2005-01-13 20:29
ケンさん
>あ、私のコメントにレスがついている!
>期待していなかったので嬉しいです(笑)。
す、すみません、いつもレスしてなくて(^_^;)
年末年始進行を脱却して、ちょっと時間に余裕が出たです♪
投稿情報: 弥絵 | 2005-01-15 01:02