『マンガの方法論 超マンガ大学』さそうあきら著/朝日新聞出版
さそうあきらさんの描くマンガが好き。作品を生みだす根っこがわかるといいなと思って購入。私、マンガを描く気はさらさらなく、勉強も苦手なんだけど読み始めて、あらまあ、予想とぜんぜん違う本でした。マンガを描く立場になくても、おもしろい〜。読み物としてすごくおもしろい。
この本はアマゾンを見るかぎり、あまり売れてないようです。もったいない。タイトルを「さそうあきら超短編集〜作品の謎を解き明かす」とか、「わずか4ページの短編に悶絶する〜さそうあきら短編集」とかのほうがわかりやすかったかも。なにせ「大学」とか「教科書」って、昔ほど尊ばれる時代じゃないからなあ。
それはともかく、アイディアを出し、プロットを考え、作品を生み出していく方法論とともに、20本以上の短編マンガがつまったこの本。短編マンガはいずれもわずか4ページから6ページくらいなのだけど、じーんとしたり、うひゃ〜と思ったり。たった4ページなのに心に響きます。まいるなあ、なんだ、このリアリティ……生々しさとみずみずしさ。
一番おもしろかったのは、6章「ネームを作る実際」。『さよなら群像』の第2話のネームとラフ、完成原稿が順に掲載されています。ネームを見て、ああ、こんなシーン、あった、あったと思い出し、次にラフを見て、さそうさんはラフもきれいなんだなあ、あとはペンを入れるだけじゃないかと感心。そして、完成原稿を読むと、うわーなにこれ、なにこれーー!と、胸がきゅーんとしました。ネームとラフを見ている時点では、「なるほど」とか「ふむふむ」だったのに、完成原稿を見たとたんに、胸きゅん。ネームで筋は知ってるはずなのに、ラフで構図もキャラの動きも背景もわかっていたはずなのに、すごいわ、完成原稿の威力って。
話のおもしろさって、ストーリーや世界観、キャラクターの魅力だけじゃない。そして、そこからふくらませておおよそを伝えてもまだだめなんだ。目前に提示されるそのものの存在がすべてなんだと、ショックを受けました。
ところで、最後に『マンガの方法論 超マンガ大学』に収録されている短編作品タイトル一覧でも。この数のストーリーをすらすら描いてしまうのかしら。すごすぎる。いずれも長編にできる内容かと。この短編が読めてよかった〜☆
「京漫画Ⅰ」
「京漫画Ⅱ」
「おれ、恋してるんす」
「立彦くんをばらばら」
「宇宙人の指令」
「じじ萌え」
「宝くじにあたった女」
「ビデオショップせせらぎ」
「茶側さんと田淵くん」
「やかん的彼氏」
「見えない雪子ちゃん」
「山田さんとナターシャ」
「テレパシーのふたり」
「ばぶちゃんに聞いて」
「シェアするふたり」
「メモリースティック」
「法螺貝夫婦」
「つぶつぶとくしゃくしゃ」
「アリの鉄二」
「さっちゃん」
「きりんのおかあさん」
「失恋の涙」
「私の植物図鑑」
「教室の音」
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