スウェーデンのマルモー図書館が、本ではなく、人の貸し出しをするプロジェクトを実験的に開始したそうな。図書館の役割といえば、「ユネスコ公共図書館宣言」では、「人類の思想や知識の記録、創造力の成果などがすべての人々に自由に利用されるための主要な手段」と定義しているので、手段の送り手としては本だろうが、CDだろうが生身の人間だろうが別にかまわないだろうけど、やっぱ、お国が違うというか、それは妥当な方法なのかしら?と思わせるコンセプトで、かなりびっくりしました。
貸し出す人材は、イスラム教の導師、ジャーナリスト、イスラム教徒の女性、ジプシー、同性愛者など。偏見をもたれがちな人たちを選んだという話で、直接話すことで正しい認識を持ってもらおうというのが意図。貸し出しを依頼すると45分間、図書館のカフェでお話ができるんだそうです。
最初に図書館の人が「偏見を持たれている人たち」をリストアップして、該当する人を集めたそうですが、自分が図書館の企画者だったとしたら、まず、「この人が偏見を持たれている人である」というのを選び出すこと自体に、すごく躊躇すると思うんです。偏見を持っているから選べるわけで、日本で「偏見を持たれている職業リスト」なんて作ったら、めっちゃ叩かれると思うし。でもって、たとえば、弥絵の家族もやってるよーな職業=ジャーナリストでも、いい人もいればそうじゃない人もいるし、結局、人それぞれで、出会った人によって印象ってのは左右されるわけで。なにより、初対面の人とのたった45分の会話でなにがわかるのか?・・・ってあたりが、フに落ちないところなのでした。ま、お国が違うので、こんなふうにうじうじ考えず、もっとおおらかにやってることなのかもしれないけど。
話変わるんですが、「ユネスコ公共図書館宣言」を読んで、へえ、って思ったことが1点。
「社会と個人の自由、繁栄および発展は人間にとっての基本的価値である。このことは、十分に情報を得ている市民が、その民主的権利を行使し、社会において積極的な役割を果たす能力によって、はじめて達成される。建設的に参加して民主主義を発展させることは、十分な教育が受けられ、知識、思想、文化および情報に自由かつ無制限に接し得ることにかかっている。」
ユネスコって民主主義を掲げてるんだ。この手の政治的な主義に関係なく、平等な立場にあるかと思ってた。