この間、福島聡のマンガの話を書いてから、
彼を書いたら、この人たちも書かないといけないなあと思いついた漫画家さん数人ご紹介。
「弥絵ちゃんち」のネタ、外に出る元気がないと、どんどんオタク化していくぅー。
黒田硫黄
「大日本天狗党絵詞」
「セクシーボイスアンドロボ」
「茄子
「大日本天狗党絵詞」を初めて観たときは、「おっ、諸星大二郎!」と思ったんす(ストーリーもテーマもぜんぜん違うけど)。筆ペンで塗りつぶしたような独特のタッチ、歌舞伎の浮世絵のようなデフォルメ、いままで観たこともないような独特のコマ展開、奇想天外なつかみ所のない奥の深さが特徴。絵、うまいです。この先が楽しみなマンガ家さん。
「大日本天狗党絵詞」は、現実に親和しなくなってしまった小学生の女の子が、天狗に拾われ、天狗に育てられるってところから話がスタート。成長した女の子が自分の家に戻ると、自分そっくりの泥人形が自分として生活していて戻る場所がない。天狗たちといえば、天狗であることに誇りを持ちつつも、世界から忘れられてもいっかーってな感じで、これまた居場所がない。女の子と天狗のアイデンティティは?! 女の子はふがいない天狗の師匠のお尻を叩いて「大日本天狗党」をおったて、天狗が日本を制する新しい世界を作ろうとするが・・・。
サスペンスあり、奇怪な事件あり、謎あり、魑魅魍魎あり、そんな中に、温かさと寂しさが同居するお話です。
最近はもっとすっきりしたタッチで、「セクシーボイスアンドロボ」は文化庁メディア芸術祭で大賞とってたし、「茄子」は、なぜか宮崎駿さんが帯の推薦コピー書いてます。
諸星大二郎
「ぼくとフリオと公園で」
「妖怪ハンターシリーズ」
「栞と紙魚子シリーズ」
「不安の立像」などなど
弥絵が尊敬してやまない諸星大二郎。特に好きなのは「妖怪ハンター稗田礼二郎シリーズ」めっちゃ昔のマンガですよぉ。諸星大二郎といえば、「西遊記」などでも有名なんですが、メジャーじゃないですねー。絵に癖がありすぎるんでしょうかねえ。
この人の特徴は、日常のふとしたところに潜んでいる狂気とか不可思議なことを浮きあがらせて、なんでもありの世界にしてしまうところ。
んでもって、SF、オカルト、伝奇・・・どのジャンルで描いても、突拍子もない生物が出てきたり、信じられない展開になるんだけど、世界観と、そのバックボーンが恐ろしいほどにしっかりしていて、リアリティ高くって、「ああ、そういうことってあるかも」と思わせるところがすごい。
漆原友紀「蟲師」
絵柄は近藤ようこの初期のような雰囲気で、諸星大二郎とはまったく異なりますが、諸星大二郎の世界が好きなら、楽しめるマンガ。
生物の源流である蟲。ヒトは古くから畏れを含み、何時しか総じて「蟲」と呼んだ。主人公はそれら、人の力ではない不可思議な現象を起こす「蟲」を退治する異能の男。
左手で絵や文字を書くと、それに命が宿ってしまう神の手を持つ少年の話、人身御供で死んだはずの少女を救った沼の主の話、虹に取り付かれた男の話・・・こう書くとインパクトないんだけど、インパクトがないところがいいんです。
じじばばから聞かされた、昔の日本の民話や伝奇話のような風情。きっと昔はこういう、なにげない不思議な物語を語る人が村に一人はいたはずなんす。のっぺらぼう、ぬらりひょん、だいだらぼっち、狐の嫁入りなどの妖怪の話とはぜんぜん違うのだけど、そういう懐かしさを感じさせる話が満載。しかも、発想の源がそんじょそこらではお目にかかれないオリジナリティにあふれてて、はあ、よく考えついたなあって感心します。語り部さんですね(^o^)
というわけで、ちょっと長くなったので、この辺で m(_ _)m
本日は、黒田硫黄と、絵つながりの諸星大二郎、諸星大二郎とテーマつながりの漆原友紀の流れでご紹介しました。
そのうち、自分で体系作ると面白いかもなあ・・・。